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提案書作成の思考(2)- 目的から解決手段を評価する


どうもこんにちは。
1ヶ月前に10日間の灼熱テレワークという苦行を課してまで手術を断行したのにもかかわらず、見事に再発して日々 早朝から血まみれになっている石山です。


ということで、私の提案書の作成思考を晒していく全4~5回予定の連載企画の第2回目となります。
ただの我流な個人的思考を綴っているだけの連載なので色々ツッコミどころがありましょうが温かく見守って欲しい次第です。

前回は、ヒアリングや要件定義を元に、クライアントの要望を正しく理解しましょう ― という「要望を正しく理解する」ところまでのお話でした。

前回の記事:提案書作成の思考(1)| PAGEONE NOTES

その続きから綴っていきたいと思います。

要望を目的と手段に分ける

前回の記事で話したとおり、
「赤くしたい」という要望が、実は「目立つようにしたい」という目的を元にした手段の提示であったように
クライアントから引き出された、「生の声(要望)」は必ずしも正しい方向を向いて整理されているとは限りません。

クライアントは決して技術的な要望や仕様を決めるプロではなく、限られた情報リソースの中でビジョンを描き、それを要望として出力しているため その内容は、目的に対して最良な手段が提示されていない場合があるという事を考慮する必要があります。

そこで、
クライアント側の要望を正しく理解するために、要望を「目的と手段」に分けてリストアップすることをおすすめします。可能であれば、それらに優先順位付けまでしておくと、次の項目の「評価」に役立ちます。

手段を評価して正しい方向へ向ける

目的の為なら手段は厭わない

なんて、犯罪予告的なシーンか何かで使われる一見恐ろしい表現があったりしますが、

目的のために最適な効果を期待できる手段を選択するのは至極当然の行為で、
要望の中で示された「クライアントが提示した手段」が、目的に対して最適かどうかを評価し、より良い代替手段の提案ができるのであれば思い切って差し替えてしまう決断も提案書の作成には必要です。

この手段の適性について評価するには、目的から逆算することで見えてきます。

例えば

例えば、アパレル販売会社のショッピングサイトの構築案件で、
「社会貢献の情報は重要なのでトップページに大きく表示したい」という要望があったとします。

しかしこのサイトのプロジェクト全体の目的は、
「多くの商品を買ってもらう事」だったりします。

もちろん、社会貢献は会社の大事なアピールポイントのひとつではありましょうが、
「トップページという多目的でスペースの限られたエリアに、商品紹介を押しのけてまで社会貢献の情報を表示させる」というのは手段として正しいでしょうか。

そこで、「社会貢献の情報」と「商品紹介の情報」がプロジェクト全体の目的「多くの商品を買ってもらう事」に対して及ぼす効果・影響について評価を行ないます。
結果、目的のためにはやはり「商品紹介の表示を優先すべき」と判断され(たとし)ます。(社会貢献のコンテンツ内容によっては逆の判断になる事も充分にありえます)

これらの評価を踏まえ、
「あくまでトップページは商品のリストや特集イベント等の情報が多く並ぶページとして機能させ、
社会貢献は別で特設ページを大きく設けて、トップページからは社会貢献をイメージできる目立ったバナーを配置することで効果的にページ誘導する」手段を提案します。

といった感じで、プロジェクト全体の目的から優先順位を逆算することで、クライアントの意図を崩さない範囲で最適な手段を提案をする事ができます。

まとめ

提案、ないしはプロジェクト自体の成功を達成するためには、
あくまで目的の達成がマストであり、手段は選択肢のひとつに過ぎません。

そして、専門知識を持ってその最良の選択肢を手段として提示するのは、我々提案側の責任となります。

クライアント側から提示された手段はもちろん第一に検討すべきですが、
目的の優先順位を整理した上でそれよりも優れた手段を提示できるのであれば、より質の高い提案が出来ます。

こういった目的を元に手段の検討を繰り返して、提案の内容を練り込むことで、
クライアント側に「我々が想定よりも良いものになりそう・・・」と、一瞬でも思わせる事ができたならば、提案の成就に大きく近づくことができるかもしれません。


ということで、
クライアント案の要望を何から何までひっくり返すと「全然要望を聞いてくれてねーじゃねーか」と反感を買う可能性があることを注意しつつ、今回はここまで。

次回は「提案全体の整合性を考える・記載内容の矛盾をなくす」あたりの内容で、
提案書作成の思考を巡らせてみたいと思います。

お楽しみに。