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Windows 10 配信の最適化②~Ver.1803での機能改善ポイント編~


SCD プラットフォームビジネスユニット 新宅です。
メリークリスマス!ということでCortanaさんが挨拶してくれました。

さて、今回も引き続き「配信の最適化」についてです。数日前にリリースされたばかりの最新情報です。
次回バージョンとなるバージョン1803のInsider Preview(開発版)にて、地味で強力な機能改善がリリースされました。

「配信の最適化」の基礎

「配信の最適化」の基礎・ダウンロードモードについては以下の前回記事をお読みください。

http://www.pageone.ne.jp/blog/notes/windows-10-delivery-optimization-download-mode/

バージョン1803で何が変わるのか

主に、「配信の最適化」のIntune MDM(Policy CSP)/Group Policyによる管理ポリシーが追加・変更されます。
現時点では、Intune MDM(Policy CSP)のシンボルは公開されておらず、今後の公式の情報を注視する必要があります。
また、半期チャネル(ターゲット)になるまでに、変更が発生する恐れがあることに注意が必要です。

追加された管理ポリシー

下記のポリシーが追加されるようです。

  • http からのバッググラウンド ダウンロードを延期 (秒)
    自動ダウンロード時に、開始から指定秒経過までの間、P2Pからのダウンロードのみを行います。指定秒経過後に、不足分をHTTPソース(WUサーバー等)からダウンロードします。
    (より確実にP2Pに頼ることが可能に)
    既定値: 0(延期なし), 推奨値: 3600(1時間)
  • http からのフォアグラウンド ダウンロードを延期 (秒)
    手動ダウンロード時に、開始から指定秒経過までの間、P2Pからのダウンロードのみを行います。指定秒経過後に、不足分をHTTPソース(WUサーバー等)からダウンロードします。
    (より確実にP2Pに頼ることが可能に)
    既定値: 0(延期なし), 推奨値: 60(1分間)
  • 最大バックグラウンド ダウンロード帯域幅 (パーセント)
    「最大ダウンロード帯域幅」が廃止予定となるための代替で、自動ダウンロード時の指定ポリシーです。
    既定値: 0(自動制御・無制限)
  • 最大フォアグラウンド ダウンロード帯域幅 (パーセント)
    「最大ダウンロード帯域幅」が廃止予定となるための代替で、手動ダウンロード時の指定ポリシーです。
    既定値: 0(自動制御・無制限)
  • ピアの選択を制限する方法を選択します
    「ダウンロードモード」が「LAN(1)」または「Group(2)」に設定されているときに有効なポリシーです。現在は、オプションが「サブネット」しかありませんが、今後追加されるようです。
  • バックグラウンド ダウンロード帯域幅を制限する営業時間を設定します
    営業時間を指定し、自動ダウンロード時に、営業時間内・営業時間外に「配信の最適化」に対して許可する帯域幅をパーセントで指定します。
    有効直後の既定値: 8 AM-5 PM, 常時無制限
  • フォアグラウンド ダウンロード帯域幅を制限する営業時間を設定します
    営業時間を指定し、手動ダウンロード時に、営業時間内・営業時間外に「配信の最適化」に対して許可する帯域幅をパーセントで指定します。
    有効直後の既定値: 8 AM-5 PM, 常時無制限

非推奨となった管理ポリシー

代わりに、以下のポリシーが非推奨となり、今後削除されるようです。

  • 最大ダウンロード帯域幅
    1703以前では、自動・手動問わず適用されたこのポリシーですが、上記の代替ポリシーに置き換えられます。

個人ユーザーにとっては「配信の最適化」は”邪魔な存在”

前回の記事でも触れましたが、個人ユーザーで使う限り、「ダウンロード速度は十二分、どちらかと言うと知らないところでのアップロードはしてほしくない」環境のほうが多いと考えられます。
Windows 10 Homeでは、P2P交換の有無程度の設定しかなく、それを設定アプリでしか変更できず、「ローカル グループ ポリシー エディター(gpedit.msc)」すら利用できません。そして、標準ではLAN上ピアだけではなく、インターネット上ピアのP2P交換が有効になっています。
有効になっているということは、インターネットに繋がっている周りの端末からダウンロードするだけではなく、インターネットに繋がっている周りの端末にアップロードして配信することも同時に行うということです。
確かにダウンロード完了が多少早くなるのかもしれませんが、アップロードされることの気持ち悪さのほうが強いかもしれません。「個人であっても、ちょっとでも細かいことをしたいならProを買え」というスタンスが続いており、Homeユーザーにとっては、P2Pそのものはオフにできるものの、結局は”邪魔な存在”としか感じないことでしょう。

だが、P2P交換や帯域の制御は企業からのニーズが高い

上記の追加ポリシー群は、フィードバックによるユーザーからの意見を元に追加されたようです。
あまり日本からはまともなフィードバックがない中で、こういった改善が取り込まれたことを考えますと、海外でも帯域の制御に気を使っているということですね。むしろ日本の固定インターネット回線に比べると、海外では帯域を贅沢に使えない環境のほうが多いからということもあるかもしれません。そこで、「配信の最適化」のようなP2PによるローカルLAN内による使用帯域の軽減というアイデアは素晴らしいものになるわけです。
日本では、これらのポリシーを利用しても意味が無いのではと思われるかもしれません。実際は、相変わらず回線の帯域に見合わないほどに多くのPCを繋いでいる企業にとっては、BranchCacheの代替となっていくものです。現在もWindows Server 2012 R2以降のWSUSやBranchCacheも利用できますが、これからのWindows 10に合ったクラウドファーストな管理をするためには、この「配信の最適化」による帯域の制御を行うことがベストプラクティスとなります。

Windows 10は変化が激しい

企業のIT管理者でなくとも、少し詳しい方なら「Windows 10は春・秋の年2回更新で、以前より変化が激しい」ということはご存知のことでしょう。
それだけ、IT管理者にとって、情報収集能力をこれまで以上に試されていると言っても過言ではありません。

更に言ってしまうと、日本マイクロソフトの日本語ドキュメント化が非常に遅く、以前にも増して英語を読む力が必要です。(幸い、Google 翻訳の精度が上がっているのである程度代替可能になりましたが…未だにBing 翻訳は旧Google 翻訳よりもひどい翻訳です)
とにかく日本マイクロソフトがマイクロソフト本体の動きについていけていないような印象で、Windows 10のことに関しては特に日本マイクロソフトからの情報を待っていては、いつまでも何も出来ない状況が既に出来上がっています。今のところ、日本語のドキュメントが無いため、ほとんど英語のドキュメントに頼っています。

IT管理者がこれからのWindows 10の管理を乗り越えていくためには、業務に大きな支障を及ぼさない範囲内で、積極的にInsider Previewを利用していく必要すらあるかもしれません。慣れない方にとっては、非常に大変なことですが、時代の変化に取り残されぬよう、必死に努力していかなければならない世界であるということかもしれません。

引き続き、Windows 10 配信の最適化シリーズとして掲載していく予定です。

本年最後のご挨拶

2017年も終わりが近づいてまいりました。本年の私の最後の記事となりますので、最後にご挨拶させていただきます。
弊社ページワンも、今週末29日にて仕事締めとさせていただき、12/30から1/8までは年末年始休業とさせていただく予定となっております。新年は1/9からとなります。
お世話になりました皆様、お読みいただいた皆様、有難うございました。来年、2018年も何卒よろしくお願いいたします。