みなさん、こんにちは。平井です。年寄りなので、昔の話をします。
OS/2ってご存じですか?IBM社のPS/2ってパーソナルコンピューター用に作られたOSだからOS/2ってことだと思うのですが、1980年代の終わり頃かな?
わたくし、PS/2用に作られたOS/2をFM-RというPS/2とはまったく異なるハードウェアに移植するチームでBacic Video SubsystemってやつをFM-R用に書き換える仕事をしていました。
OS/2はIBMとMicrosoftが共同開発していたOSで、Microsoftがライセンス販売していて、ソースコードも売っていたので、ソースコードを買ってきて、独自のハードウェアに移植することができたってわけです。
ソースコードはMASM(Microsoftのマクロアセンブラ)とMSC(MicrosoftのC、もとはLattice Cかな?)で、MASMは構造化マクロなるものも提供されていて、
たとえば、
and al,al
.if <nz>
;alレジスタが0ではなかったとき処理
.else
;alレジストが0だったときの処理
.endif
みたいな感じ。なので、書きやすかったです。
で、ある日OS/2のVer3になるかもしれないOSの仕様書らしきものがMicrosoftから送られてきたんですが、なんかこれまでのOS/2とはぜんぜん違っていて、なにこれ?と思ったものです。
それはその後、Windows NTとなったわけですが、ソビエト連邦が崩壊し、雲仙普賢岳が噴火した頃、別の部署に移ることになりました。
なんか、EISAバスを搭載したPC開発するからPlug & Play BIOSとEISA Configuration Utility 買ってきて移植せよ、ってことだったかな?30年以上前のことだからよく覚えていない。
その件でサンノゼに出張してたときに、日本から連絡が来て、同じホテルに滞在しているS課長と一緒にテキサス州オースティンへ行ってこいと。
出張期間延長ということで、オースティンまでの航空券とか、日本へ帰りの航空券の手配はどうやったのかぜんぜん覚えていないけど、
たぶん、サニーベールにあった現地法人の社長秘書のキムさんが手配してくれたんじゃないかな?覚えてないけど。
で、オースティンへ行って、AMDと打ち合わせ。
そこで低電力版の386(386SXLVとか言ったかな?)の説明受けて、デモボード見せられて、野外の喫煙所で一服して、山の上のステーキハウスでスペアリブごちそうになったけど
手を滑らせてシャツにステーキソースがべったりついたのは良い思い出(こういうことは覚えている…)
オースティンからアリゾナ州フェニックスへ。
VLSI Technorogiesというチップ屋さんと打ち合わせ。
AMDの386SXLV用のチップセットを作ってて、S課長がなにやらカスタマイズを依頼しているらしく、なにか仕様の話をしているらしいけど、何を言っているのかわからない。英語だし。
なんでわたしがそんな打ち合わせに同行させられたかというと、386SXLVノートPC作るけど、BIOSはお前が担当だよね?ということのようで。
今回のBIOSベンダーはロサンゼルスの南、オレンジカウンティにあるQuadtel Corporationだそうで。AMDのデモボード用のBIOSはここで作っていたからかな?
で、AMDの386とVLISのチップセットで、そういえばVGAも3V動作するなんか特殊なやつだったような…Cirrus Logicだったかな?
あー、今じゃDACも作ってますね。CirrusのDACチップ詰んだiFiのDAC、わたし持ってます。
これはいつ頃の話かというと、1993年頃かな?当時はチップすべてを3V版で構成したノートPCというのはすごいのだー、と、ハード屋さんはおっしゃっていたような気がします。
で、そのすごいノートPCなんですが、まず、BIOSのパワーマネージメントがうまく動かない。サスペンドすると、もう二度と起きない。起きるようにしたけども、画面がぐしゃってる、などなど。
ハードのほうも、筐体の製造がうまくいかない(例えばアッパーカバーのたわみを補正できないとか)などで、出荷予定が大幅に遅れて、お蔵入りになってしまったのは苦い思い出。
まぁ、ノートPCはお蔵入りになっちゃったんですが、同時にタブレット型も開発してましてね、これが、米国の現地法人から「325 Point」という製品名で販売されたんですねー。
ググってみたら、こちらのサイトに325 Pointの写真が載ってました。いやぁ、懐かしい。
https://www.computerhistory.org/collections/catalog/102716301/
まぁ、そういうことで、325 Pointでバタバタしてるところに別のハード屋さんがいらして、486SXのノートPC作るよ、チップセットはEvergreen、VGAはC&Tだよ。BIOSはPhoenixにしてね!とのこと。
こちらの機種向けのBIOSはPhoenixさんにカスタマイズを依頼したのですが、リリースされてきたBIOSをテストすると、まぁ、いろいろと問題があると。
なので、私がPhoenix Technorogiesに張り付いて、ちゃんとしたBIOSが出来上がるまで帰ってくるなと上司に言われまして、ひと月半ほどPhoenix近くのモーテルで暮らすこととなりました。
こちらも色々と、ありましたが、なんとか出荷することができました。
こちらのページにある FMV-425N とか、FMV-433N ってやつですね。
いまにして思えば、でかくて重かったなぁ。
今回はこんなところで。老人の戯言にお付き合いいただき、ありがとうございました。