皆さん、こんにちは! S.Y.です。
私は趣味で津軽三味線を演奏しています。
今回は津軽民謡の代表曲「津軽じょんから節」について書かせていただきます。
津軽じょんから節の由来
津軽民謡を聞いたことがない方でも「津軽じょんから節」という名前は聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか。
津軽じょんから節の名前の由来としてよく聞かれるのは「常縁河原(じょうえんかわら)」という地名に基づいた話です。
津軽じょんから節の発祥は青森県黒石市(旧・浅瀬石(あせいし)村)とされています。
慶長2年(1597年)、浅瀬石城主「千徳政氏(せんとく まさうじ)公」は津軽の藩祖「大浦為信(おおうら ためのぶ)公」に討ち滅ぼされ落城し、墓地まで掘り起こされそうになりました。
その際に、抗議と哀調を込めて、神宗寺の僧侶「常縁和尚(じょうえん おしょう)」が浅瀬石川に身を投じました。
村人はその悲劇を唄い、その地を「常縁河原」と呼び、これがなまって「じょんから」と呼ばれるようになったと言われています。
その後、津軽の地に三味線が伝わり、津軽民謡として津軽じょんから節という曲が確立されたと思われます。
時代とともに変化する津軽じょんから節
その後、津軽じょんから節は時代とともに変化し、3種類の津軽じょんから節が生まれました。
主な違いは、演奏における主役となる要素と、それに伴ったリズムの変化です。
■津軽じょんから節・旧節
最も古い津軽じょんから節・旧節は「手踊り」が主役です。軽快な手踊りを魅せるためにテンポは速く、跳ねるようなリズムで演奏されます。
■津軽じょんから節・中節
次に作られた津軽じょんから節・中節は「唄」が主役となり、唄の抑揚をしっかり感じられるよう、ゆったりとしたリズムで演奏されます。
■津軽じょんから節・新節
最も新しい津軽じょんから節・新節は「三味線」が主役となり、スピード感のあるリズムで、三味線のみで演奏する「曲弾き」というスタイルで演奏されることが多いです。
一般的にイメージされる津軽三味線の音に最も近いのは、津軽じょんから節・新節かもしれません。
このように津軽じょんから節は時代とともに変化しています。
演奏者によって変化する津軽じょんから節
津軽じょんから節は時代だけでなく、演奏者によっても変化します。
津軽民謡にはさまざまな曲がありますが、その中に津軽五大民謡と呼ばれる有名な5つの民謡があり、津軽じょんから節はその中の1つです。
ちなみに津軽五大民謡とは、以下の5つになります。
■津軽じょんから節
■津軽よされ節
■津軽あいや節
■津軽小原節
■津軽三下がり
この津軽五大民謡は他の民謡とは異なり、曲として成立するための最低限のルールを守っていれば、あとはかなり自由に演奏することができます。
ルールは主に以下の3つになります。
■使用できる音(音楽的に言うとスケールのようなもの)
■リズム
■大まかな曲構成
このルールに従った上で自分でフレーズを考え、曲を組み立てることができます。
津軽じょんから節・新節は五大民謡の中でも圧倒的にフレーズの自由度が高く、演奏者の個性が最も強く現れます。
まとめ
今回は津軽民謡の最も代表的な曲「津軽じょんから節」について書かせていただきました。
津軽じょんから節は、時代や演奏者によって雰囲気が変わるという点と、曲を組み立てる際に自分で考えられる幅が広いという点から、個人的に聞き手としても演奏者としても1番好きな津軽民謡です。
自分なりの津軽じょんから節を確立できるよう、今後も練習していきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!