皆さんこんにちは。今回のスタッフブログを担当致しますS.Y.です。
私は趣味が津軽三味線で、前回は津軽三味線の成り立ちについてブログを書かせて頂きました。
今回は津軽三味線の特徴の1つ「曲弾き(きょくびき)」という演奏スタイルについて紹介させて頂きます。
民謡における三味線の役割
始めに、皆さんは「民謡」といえば、どのような曲をイメージしますか?
私は秋田県出身で、近くのスーパーマーケットでよく流れていた「秋田音頭」という曲が染みついています。
全国的に有名なものだと北海道の「ソーラン節」、宮城県の「米節」などがあります。
これらの曲はいずれも、唄があり、伴奏として三味線、太鼓、笛などの楽器が用いられています。
このように民謡において三味線は、伴奏楽器の1つとして存在しています。
津軽民謡も例外ではなく、基本的に唄に対して、津軽三味線と太鼓で伴奏を担当します。
しかし、津軽民謡の一部の曲では、伴奏とは異なる「曲弾き」という演奏スタイルが確立しています。
曲弾きの成り立ち
「曲弾き」とは、簡単に言うと、唄も太鼓も笛もなく、津軽三味線だけで演奏するスタイルです。
この演奏スタイルには門付けと呼ばれる文化が関わっています。
門付けについては前回のブログでも軽く説明させて頂きましたが、三味線を持って家々を回り、門の前で三味線を弾いてお金を稼ぐという文化です。
この門付けの際に、唄い手や他の楽器奏者がいない状態でも演奏を成り立たせようとして、曲弾きが生まれたという説があります。
また、伴奏として演奏するときは、あくまでも唄が主役なので、三味線奏者は比較的簡単でシンプルなフレーズを弾きますが、そのフレーズのままだと三味線だけで演奏したときに聞きごたえに欠けるので、フレーズをより複雑化するために、奏者ごとにさまざまなアレンジが加えられるようになりました。
そのため、曲弾きはフレーズの難易度が高く、同じ曲を弾いても奏者ごとに異なるフレーズを使うという特徴があります。
このようにして曲弾きという津軽三味線だけで演奏するスタイルが確立したと言われています。
津軽三味線における曲弾き
曲弾きは、津軽三味線を最も特徴付けていると感じます。
曲弾きという演奏スタイルがあるため、津軽三味線は民謡でありながら「かっこいい」という印象を受けることが多いです。
また、メディアやSNSで見る津軽三味線は、曲弾きスタイルで演奏していることがほとんどです。
例えば、細川たかしさんの「望郷じょんから」という曲があります。
津軽三味線といえばこの曲を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この曲の途中で、津軽三味線奏者が演奏するタイミングがあるのですが、そこで演奏しているのは津軽じょんから節という民謡を曲弾きスタイルで演奏したものです。
あらゆる津軽三味線の大会でもメイン種目として、曲弾きが採用されています。
そのため、津軽三味線人口の中でも、曲弾きをメインに練習している人は多いです。
曲弾きは他の民謡と比べるとかなり異色な演奏スタイルですが、それが津軽三味線の魅力となっているわけです。
もし興味があれば…
曲弾きスタイルで演奏されるのは、主に津軽五大民謡と呼ばれる5つの曲です。
・津軽じょんから節
・津軽よされ節
・津軽あいや節
・津軽小原節
・津軽三下がり
もし興味がありましたら、これらの曲名の後に「曲弾き」と入力して検索していただくと、
さまざまな奏者の曲弾きがお聞きいただけると思います!
最後までお読みいただきありがとうございました。