スタッフブログ

GPT-4o について


はじめに

こんにちは。

今回は先日発表された GPT-4o の性能を GPT-4-turbo と比較する形で行いたいと思います。

性能比較

今回はできるだけ長文を出力させるようにした2つのプロンプトで検証を行いました。

検証には Azure OpenAI Studio のプレイグラウンドを使用しました。 GPT-4o は米国東部リージョン、 GPT-4-turbo (0409) はスウェーデン中部リージョンのリソースです。

①学習指導要領の作成

プロンプト:
小学校の国語の学習指導計画を作成します。
題材に使用するのは以下の文章です。
以下の文章を踏まえ、学習指導計画と、各回の授業内容をまとめてください

#文章:{走れメロスの全文}

GPT-4o

・出力テキスト…


学習指導計画

目標
物語の内容を理解し、登場人物の心情や行動の背景を考える。
文章の構造や表現技法を理解し、文章の読み取り力を向上させる。
物語のテーマやメッセージを考え、自分の意見をまとめる。
授業内容

第1回: 物語の概要と登場人物の紹介
物語の概要を説明し、登場人物(メロス、セリヌンティウス、ディオニス王)の紹介を行う。
物語の舞台や背景について説明し、物語の時代や場所を理解する。
第2回: 物語の前半部分の読み取り
物語の前半部分(メロスがシラクスの市に到着し、ディオニス王に捕らえられるまで)を読み、内容を理解する。
メロスの行動や心情について考え、なぜ彼がディオニス王に立ち向かう決意をしたのかを話し合う。
第3回: 物語の後半部分の読み取り
物語の後半部分(メロスが村に戻り、セリヌンティウスを人質にして再びシラクスに戻るまで)を読み、内容を理解する。
メロスの行動や心情について考え、彼がどのような困難に直面し、それをどのように乗り越えたのかを話し合う。
第4回: 物語の結末とテーマの考察
物語の結末(メロスがシラクスに戻り、セリヌンティウスと再会するまで)を読み、内容を理解する。
物語のテーマやメッセージについて考え、メロスとセリヌンティウスの友情や信頼について話し合う。
第5回: 文章の構造と表現技法の分析
物語の文章構造や表現技法について分析し、物語の魅力を理解する。
比喩や描写、対比などの表現技法を見つけ、それが物語にどのような効果をもたらしているかを考える。
第6回: 自分の意見をまとめる
物語のテーマやメッセージについて自分の意見をまとめる。
メロスの行動や信念について、自分がどう感じたかを文章にまとめる。


・生成にかかった時間…14秒

GPT-4-turbo (0409)

・出力テキスト…


学習指導計画:小学校高学年国語

単元名:「信頼と友情の重要性 – メロスの物語」

目標:
物語を通じて、信頼と友情の価値を理解する。
登場人物の感情や行動から、物語のテーマを読み取る。
グループディスカッションを通じて、意見を交換し、協力して学ぶ。
全体の時間:5時間(1時間×5回)

各回の授業内容:

第1回:物語の導入とキャラクター分析
目的:物語の背景と登場人物を理解する。
活動:
物語の読み聞かせ(導入部分まで)。
メロスと他のキャラクター(ディオニス、セリヌンティウス)の初期印象について話し合う。
登場人物の行動や発言から、彼らの性格や動機を推測するワークシートを完成させる。
第2回:物語の中心部の深掘り
目的:物語の中心的な出来事とその影響を理解する。
活動:
物語の中心部を読む(メロスが王に挑むシーンから、セリヌンティウスを人質にする部分まで)。
メロスの決断の背後にある価値観や信念についてクラスディスカッション。
物語のこの部分で見られる信頼と裏切りのテーマについてグループで話し合う。
第3回:クライマックスの分析
目的:物語のクライマックスを詳細に分析し、その感情的な影響を探る。
活動:
クライマックス部分の読み聞かせ(メロスが結婚式を急ぐシーンから、彼が王城に戻るまで)。
メロスの行動に対するクラス内での意見交換。
メロスの行動が示す「信頼」と「責任」についてのエッセイを書く。
第4回:結末の解釈と感想
目的:物語の結末を解釈し、その教訓を自分の言葉で表現する。
活動:
物語の結末部分の読み聞かせ。
メロスとディオニスの最終的な対話の意味を掘り下げる。
物語から学んだことについてのクラスプレゼンテーションを準備する。
第5回:プレゼンテーションと反省
目的:学んだ内容を整理し、他の生徒と共有する。
活動:
グループプレゼンテーション:「メロスの物語から学んだ信頼と友情の重要性」。
プレゼンテーション後の質疑応答。
物語を通じて感じたこと、学んだことのクラス全体での共有と反省。

この計画は、生徒たちが物語を深く理解し、その中の道徳的な教訓を自分の生活にどのように適用できるかを考える機会を提供します。


・生成にかかった時間…1分50秒

②小説の執筆

プロンプト:
旅人と猫を題材にした、心温まるストーリーの小説を2000文字程度で執筆してください。

GPT-4o

・出力テキスト…


ある晴れた日の午後、旅人のタケルは、長い旅の途中で小さな村に立ち寄った。彼は旅を続ける中で、さまざまな場所を訪れ、多くの人々と出会ってきたが、この村は特に静かで穏やかな雰囲気が漂っていた。

村の中心にある広場で、タケルは一匹の猫と出会った。その猫は、白い毛並みが美しく、青い瞳が印象的だった。猫はタケルに興味を持ったようで、彼の足元に寄り添ってきた。タケルは猫の頭を撫でながら、「君はどこから来たんだい?」と優しく問いかけた。

猫は答えることなく、ただタケルの足元に座り込んでいた。タケルはその猫が気に入り、しばらく一緒に過ごすことにした。彼は村の宿屋に泊まり、猫と共に村を散策した。村の人々はタケルと猫を温かく迎え入れ、彼らに食事や飲み物を提供してくれた。

ある日、タケルは村の外れにある丘に登り、猫と一緒に夕日を眺めた。夕日が沈むにつれて、空は美しいオレンジ色に染まり、村全体が黄金色に輝いていた。タケルは猫に向かって、「この景色は素晴らしいね。君と一緒に見られて嬉しいよ」と微笑んだ。

猫はタケルの言葉に応えるように、彼の膝に乗り、ゴロゴロと喉を鳴らした。タケルは猫の温かさを感じながら、心が満たされるのを感じた。彼はこの村での時間が特別なものになることを確信した。

数日後、タケルは再び旅に出ることを決意した。彼は猫に別れを告げるのが辛かったが、猫は彼の旅を見送るように、村の入り口までついてきた。タケルは猫の頭を撫でながら、「ありがとう、君のおかげで素晴らしい時間を過ごせたよ」と感謝の気持ちを伝えた。

猫はタケルの言葉に応えるように、彼の手に顔を擦り付けた。タケルは猫に別れを告げ、再び旅に出た。彼は猫との出会いを心に刻みながら、新たな冒険に向かって歩き出した。

タケルはその後も多くの場所を訪れ、多くの人々と出会ったが、あの村での猫との時間は彼の心に深く刻まれていた。彼は旅の途中で何度も猫のことを思い出し、その温かさを感じることで、どんな困難にも立ち向かう勇気を得ることができた。

そして、タケルはいつか再びあの村を訪れ、猫と再会することを夢見て、旅を続けた。


・生成にかかった時間…13秒

GPT-4-turbo (0409)

・出力テキスト…


タイトル:『旅路の猫との出会い』

春の訪れを告げるように、桜の花がほころび始めた頃、旅人のユウタは長い旅の途中で小さな町に足を踏み入れた。彼の旅の目的は、美しい風景を求めて日本各地を巡ること。カメラを手に、これまで数え切れないほどの場所を訪れてきた。

町の入口にある小さな公園で、ユウタはふと足を止めた。そこには、一匹の猫が日向ぼっこをしていた。その猫は、黒と白の毛が混じり合った美しい毛並みをしており、人懐っこい目をしていた。ユウタがそっと近づくと、猫は警戒することなく、むしろ彼の足元にすり寄ってきた。

「こんにちは、君はこの町の住人かい?」ユウタは優しく話しかけながら、猫の頭を撫でた。猫は喉を鳴らし、その愛情表現に応えるように彼の手を舐めた。

ユウタは猫に名前を付けることにした。彼はその猫を「ソラ」と名付けた。名前の由来は、その日の空がとても澄んでいて、どこまでも広がる青空が印象的だったからだ。

ソラはユウタと一緒に町を散策することになった。彼らは古い神社、色とりどりの花が咲く公園、小川のせせらぎを聞きながら歩いた。ユウタはソラが案内するかのように、普段は見過ごしてしまうような美しい場所を多く訪れた。

夕方、二人(一人と一匹)は町の小高い丘にたどり着いた。そこからは町全体が見渡せ、夕日が建物や木々に柔らかな光を投げかけていた。ユウタはカメラを取り出し、その美しい景色を何枚も撮影した。ソラもまた、何かを感じ取るかのように、じっとその景色を眺めていた。

「ソラ、君と一緒にいると、いつもと違う景色が見えるような気がするんだ。」ユウタはそう言いながら、再びソラの頭を撫でた。ソラはその手に顔を擦り付け、幸せそうに目を細めた。

日が沈むと、ユウタはソラを連れて町の小さなレストランに入った。店の人は猫を連れての入店を嫌がることもなく、逆にソラを歓迎してくれた。ユウタは温かい食事とともに、その日の冒険について話した。ソラはテーブルの下で静かに眠りについた。

食事を終えた後、ユウタはソラを抱き上げ、公園に戻ることにした。彼はソラを元の場所にそっと下ろし、別れを告げた。「ソラ、またいつか会おうね。君と過ごした時間は、僕の大切な思い出になるよ。」

ソラはユウタの手を一度舐め、そしてゆっくりと公園の奥へと歩いていった。ユウタはその背中を見送りながら、新たな旅の地へと向かう準備を始めた。

旅はいつも新しい出会いを運んでくる。ユウタにとって、ソラとの出会いは、ただの偶然ではなく、何か特別な意味を持っていたのかもしれない。そして、その小さな出会いが、彼の旅をより豊かなものに変えてくれたのだった。


・生成にかかった時間…1分25秒

どちらも内容については期待した通りの回答が返ってきています。(2000文字の文字数指示は守ってくれていないですが…)

目を見張るのは GPT-4o の処理の速さです。 GPT-4-turbo と比べておよそ7分の1程度処理時間が短縮されています。特に Power Automate で GPT を利用していた方は、タイムアウトの問題に悩まされなくなるのではないでしょうか。

料金

Azure OpenAI での入力コンテキスト・利用料金を記載します。

これに加えて GPT-4o はトークナイザーの向上によって、同じ文章量であってもGPT-4-turbo よりもカウントされるトークン数が少なくなりました。実際の料金は半分以下になったことになります。

他社の AI とも比較をすると、GPT-4o 発表までは最も性能が優れている生成AIだと言われていた Claude 3 Opus が入力 $0.015 、出力 $0.075 でかなりリーズナブルな価格であることが分かります。

GPT-4-turbo が出た時も安くなったなー!と思ったものですが、 GPT-4o の料金であれば、多くの人が以前より手を出しやすくなったのではないでしょうか。

おわりに

GPT-4o の発表から毎日このモデルを使用していますが、とにかく速度がすごいです。加えて安いというのだから、使わない理由がないです。

体感になりますが、以前に比べて、細かく長いプロンプトを与えても、意図を汲んだ回答を返してくれていると感じます。ただし、 GPT-4-turbo では意図した通りの回答を得ることができていたプロンプトでも、 GPT-4o では意図した回答を得ることができないこともあります。

既存の AI システムで利用している AI モデルは GPT-4o に切り替わっていくと思いますが、切り替えの際にはプロンプトの調整を再度行う必要があるかもしれません。

ここまでお読みくださりありがとうございました!