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Microsoft、更にクラウドを意識したサポートモデルの重要な変更を発表


SCD プラットフォームビジネスエンジニアの新宅です。
今回は、Office 365(継続契約型)と、Office 2019(パッケージ版)について、これまでのOfficeと違ったサポートモデルが適用されることになりました。
また、Windows 10のサポートモデルについても、微細な調整が加わり、組織にとって、これまでより移行しやすい環境になりました。

下記で使用している略称について

  • SACT:Semi-Annual Channel(Targeted)
    公式の日本語訳では、「半期チャネル(対象指定)」または「半期チャネル(ターゲット指定)」と記述されているものです。
    WindowsやOfficeについて、常時、機能最新版を受け取り続けるチャネルになります。個人用途または組織のテスト用途に最適なバージョンです。
  • SAC:Semi-Annual Channel
    公式の日本語訳では、「半期チャネル」と記述されているものです。
    最低4ヶ月、上記のSACTより機能最新版を受け取るのを遅らせますが、月例パッチ配信は通常通り行われるため、より安定したバージョンです。
    一般の組織におけるビジネス用途に最適なバージョンです。
  • LTSC:Long-Term Servicing Channel
    10年間、月例パッチ配信だけを行う特殊なバージョンです。特別なインストーラーでインストールする必要があり、SACTやSACから切り替えることはできません。
    正確なエディション名は「Enterprise LTSC」です。
    主に、ATMなどの組込み用途など、継続して検証・更新することが困難なものに限り、推奨されています。
  • LTSB:Long-Term Servicing Branch
    上記のLTSCに名称変更されましたが、旧バージョン名に、この名称が残っています。

Windows 10についての変更

  • EnterpriseとEducationの各バージョンのサポートについて、さらに6ヶ月延長が確定
    →SACT 4ヶ月 + 通常のSAC 14ヶ月 + 延長SAC 6ヶ月 = 計24ヶ月間サポート
    (Homeは最新版とその前の更新されるまでの猶予期間のみ、Pro・Businessは延長SAC無しの18ヶ月で据え置き)
  • LTSB 改め LTSC の次回リリースは バージョン1809 で確定、「Windows 10 Enterprise LTSC 2018」という名称に
    →メインストリーム5年 + 延長5年 = 計10年間サポート(従来のライフサイクルポリシー)

Office 2019(パッケージ永続版)のリリースと変更

下記「Office 2019」は、Office 365 ProPlus/Premiumなどの継続型ではない、パッケージ永続版を指しています。

  • Office 2019は2018年下半期にリリース予定、プレビューは2018年第2四半期リリース予定
  • Office 2019のサポートOSは、サポート中のWindows 10 SACTまたはSACバージョン、Windows 10 Enterprise LTSC 2018、次期Windows Server LTSCバージョン(2016の後継)のいずれかである必要がある
    Windows 7/8.1ではOffice 2019パッケージ版は利用不可
  • Office 2019はClick-to-Runのみの提供。MSIは無し。Office ServerバージョンのみMSI提供。
  • Office 2019永久バージョンサポートは、Office 2016永久バージョンサポートと同時終了
    →メイン5年 + 延長約2年 = 約7年間サポート(従来と延長サポート期間が異なる)

Office 365 ProPlusの変更

  • 2020年1月14日以降、Office 365 ProPlusはWindows 10 LTSC・Windows Server 2016以前・Windows 8.1以前でサポートされなくなります
    簡単にいえば、SACTまたはSAC以外のWindowsバージョンすべてにおいて、Windows 7のサポート切れと同タイミングで、OS単体がサポートされていたとしても、それとは無関係にOffice 365 ProPlusはサポート切れになります。Office 2016以前の永久バージョンを使い続けるしか回避策はありません。

OneDrive for Businessなどに対するOfficeアプリからの接続について

こちらは以前発表されたものですが、重要な変更点です。
2020年10月14日になると、Officeアプリから企業向けのOffice 365へのサインインが一部遮断される予定です。遮断される対象は、「延長サポート」または「サポート期限切れ」のOfficeアプリからの接続です。現在は、可用性を保証されていないものの、接続・利用は一応可能な状態が続いています。
2020年10月14日は、Office 2016のメインストリームサポートが終了し、「延長サポート」に切り替わる日です。つまり、遮断開始時点でOffice 2016とそれ以前のOfficeからは、企業向けOffice 365に接続できなくなるということです。

なお、個人用OneDriveなどのMicrosoft アカウントは、今回の遮断の対象外です。

2021年までのサポート予定表

画像をクリックすると、より大きな画像で確認できます。

(凡例)
緑色:メインストリーム または 現状通り のサポート期間
水色:延長サポート
赤色:完全サポートが終了する月
橙色:今回発表された変更部分

まとめ

Windows 7をお使いの方へ

2020年1月にWindows 7自体のサポートが終了します。あと1年と10ヶ月程と差し迫っています。今すぐにでも、Windows 10へのお乗り換えを。
また、このままではOffice 2019のパッケージ版を利用することはできません(2016まではこれまで通り動作します)。

Windows 8.1をお使いの方へ

OSはあと5年近くサポートされますが、各方面から冷遇されたVista以上にシェアが少ないため、Windows 7サポート終了と同時に更新されなくなるアプリケーションが増える恐れがあります(ちなみに、2016年、Vistaもあと1年サポート期間を残していたにも関わらず、Chromeの最新版を受け取れなくなるということが過去にありました)。
このままでは、Office 2019のパッケージ版を利用することができません。Office 365 ProPlusも、2020年1月までしか利用することができません。

Windows 8.1を使い続ける場合の回避策として、Office 2016以前のパッケージ版を用意する必要がありますが、その場合も2020年10月以降になってしまうと、組織向けOffice 365サービスをOffice アプリに直接接続できなくなります。2019年中の移行計画を立てることを強く推奨します。

Windows 10をお使いの方へ

弊社のようにOffice 365が利用できる環境で、「Office 365 ProPlus」を既に利用している場合や、PCに付属していた(OEMの)「Office Premium」を利用している場合は、ポリシーの変更についてご留意いただくだけで大丈夫です。また、個人用途のみに使用している場合も、Officeバージョンごとのサポート期限だけ、注意していれば問題ないでしょう。

問題になるのは「Office 2013」または「Office 2016」のパッケージ版・PC付属版(OEM)を利用中で、組織向けOffice 365サービスに直接接続している場合です。2020年10月をもって接続が遮断されますので、Office 365 ProPlusにライセンス移行する必要があります。

ひとこと

Windows 7/8.1は一応サポート期間であるものの、これらの利用者を一刻でもWindows 10に移行させたい思惑が強く現れたと思っています。
「SkyLake以降のCPUはWindows 10のみサポート」と突然、Microsoftから発表された事件もありましたね。こちらは結局ユーザーからの反発を受けて、1世代だけ遅らせて「KabyLake以降のCPUはWindows 10のみサポート」と変更したことは、知っている人であれば記憶に新しいかと思います。

「Officeは仕事をする上でもはや手放せず、代替の効きにくい製品であることをうまく利用しよう」となるのは至極当たり前のことなのかもしれません。
正直なところ、今回の発表に関係なく、Windows 7/8.1を使い続けるメリットは無く、一刻も早くWindows 10に移行するべきだと私は思っています。