弊社の若い社員(20代、30代、そしてその上の年代でも自分は若いと思ってる人含む:)に、話しかけたいと思っている事を、
今回はこのブログで書こうと思います。


うちの社員は学生時代に、いわゆる IT を専攻した人はほぼいない。
入社以降、それぞれが、それぞれの学び方で学び、講習会やセミナー等を通じてナレッジを得て、
少しずつ実案件にアサインしながら身につけていく。

今は、AIの文字起こしや要約だが、2年前まではすべて、会議を聞きながら、議事録を取らせて、
会社が、先輩たちが何をユーザやパートナー企業の方たちと会話し、何を提供しているのか。

つまり、「うちの会社は、何やってんの?」を学ぶところから始めるのだ。
この段階が1年は続く。早い人は、ドキュメントの作成補助に進む人もいる事はいるが、あくまで練習レベルだ。


他社はどうなんだろう、思わないことはないが、思っても仕方ない。
パートナー企業は皆、大企業ばかりだし、優秀な人材を毎年多数採用している企業ばかりだし。
かといって弊社に入社してくる人たちが、特別劣っている、なんて思わない。

人の学びは生きている間続くものだし、若者たちのステージは延々と続く。
ただ、「早く一人前に仕事をしたい」と思ってる人は、メタ認知が有効に働くケースが多いだけ。
あとは努力、と言ってしまえば身も蓋もない話だが、身も蓋もない話なのだと思う。

何を言いたいのか。「一人前の人間」を考えてみたい。

僕は、一人前の人間っていうのは、技術的なスキルがどうこうじゃないと思ってる。
もちろん、技術は大事だよ。Azure の設定ができるとか、Power BI でレポート作れるとか、
ChatGPT の API を使ったアプリが組めるとか。でも、それだけじゃない。


一人前っていうのは、「自分で考えて、自分で判断して、自分で責任を持てる」ということだと思う。

例えば、お客さんから「こんなことできる?」って聞かれた時に、
「わかりません、持ち帰ります」じゃなくて、「技術的にはこういう方法がありますが、コストはこのくらいかかります。
ただ、お客様の目的を考えると、こっちのアプローチの方が良いかもしれません」って言えるかどうか。

これって、技術だけじゃできない。
お客さんのビジネスを理解して、技術的な可能性を知って、コストを意識して、リスクを考えて、代替案を提示する。
そういう総合的な判断ができるかどうかなんだ。


うちの会社で言えば、例えば大学からの相談で「学生の出席管理をデジタル化したい」という話があったとする。

技術的には、QR コードでも IC カードでも顔認証でも、何でもできる。
でも、本当に大事なのは、その大学が何を実現したいのか、予算はどのくらいなのか、学生の利便性はどうなのか、
先生方の負担はどうなのか
、そういうことを全部考えた上で、「この方法がベストです」って提案できるかどうかだ。

これができるようになるには、確かに時間がかかる。
だって、技術を覚えるだけじゃダメで、お客さんのビジネスを理解しなきゃいけないし、
コスト感覚も身につけなきゃいけないし、何より「考える力」を鍛えなきゃいけない。

だから、1年目で議事録を取るのも、決して無駄じゃない。
先輩たちがお客さんとどんな会話をしてるか、どんな質問をしてるか、どんな提案をしてるか、
それを見て聞いて覚えることで、「ああ、こういう風に考えるんだ」ってことが少しずつわかってくる。

僕自身、プログラミングは全くできない。でも、お客さんと話をして、「こういうことをやりたいんです」って言われた時に、
「それだったら、こういう技術を使って、こんな感じでできますよ」って提案はできる。
なぜなら、技術の詳細は知らなくても、技術の「可能性」は理解してるし、お客さんの「困りごと」を理解してるからだ。

一人前の人間っていうのは、そういう「つなぐ力」を持った人だと思う。
技術と現実をつなぐ、お客さんの課題と解決策をつなぐ、チームメンバーをつなぐ。そういう力だ。


じゃあ、どうやってその力を身につけるか。僕が思うに、一番大事なのは「好奇心」だ。
「なんで?」「どうして?」「もっと良い方法はないかな?」って常に考えること。
議事録を取ってる時も、「なんでお客さんはこんなことを聞くんだろう?」「なんで先輩はこういう答え方をするんだろう?」って考える。

そして、「観察力」。お客さんの表情、声のトーン、言葉の選び方。
そういうところから、本当に困ってることや、言葉にできない要望を読み取る力。これは、技術書には書いてない。

最後に、「行動力」。わからないことがあったら調べる、試してみる、失敗しても諦めない。
新しい技術が出てきたら、とりあえず触ってみる。セミナーがあったら参加してみる。そういう積極性。

うちの会社は小さいから、一人一人の成長が会社の成長に直結する。
だからこそ、技術だけじゃなくて、人として、プロフェッショナルとして成長してもらいたい。一人前の人間になってもらいたい。

そのために僕ができることは、環境を整えることと、チャンスを与えること。
そして、時には厳しいことも言うこと。優しさだけじゃ、人は成長しない。


君たちには期待してる。技術者として、ビジネスパーソンとして、そして一人の人間として。
焦る必要はない。でも、立ち止まる必要もない。
今日より明日、明日より明後日、少しでも「なるほど、そういうことか」って腹落ちすることが増えていけばいい。

うちの会社で働く意味、それは「一人前の人間」になることだと思ってる。
そして、その「一人前の人間」が集まった時、きっと素晴らしいチームになる。僕はそれを見てみたい。

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