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Microsoft Office(デスクトップ版)のあれこれ


SCD プラットフォームビジネスエンジニアの新宅です。
まもなく9月も終わりで、半袖で過ごしている人がだいぶ減ってきました。

今回はデスクトップ版Microsoft Officeについてです。
この前もMicrosoft Officeのライセンス認証がややこしい話をしましたが、他にも色々とややこしい話はあるようです。

インストール形式が2種類に、インストールの制限も

Office 2013から「MSI版」と「Click-to-Run版」の2種類になりました。
MSI版は、MSDNまたはボリュームライセンスの場合に配布されるフルセットのインストーラータイプです。従来のOffice 2010までの仕組みと同様です。インストール時にインターネット接続構成は必ずしも必要ではありません。(ライセンス認証をインターネット経由で通す場合は、インストール後30日以内の接続が必要)
Click-to-Run版は、Office 2013で追加されたもので、ほとんどのプリインストール版と、個人用・企業用のOffice 365版にて配布されるものです。インストーラー自体にアプリケーションのインストール用データを持っておらず、インターネットからダウンロードしながらインストール作業が進みます。そのため、インストール時にはインターネット接続構成が必要です。

また、これら2種類を同時にインストールすることはできません。例えば、Office 2013(ボリュームライセンス版)が入っている環境に、そのままOffice 2016(Office 365版)を入れることはできません。予め、既存のものをアンインストールする必要があります。
これだけではなく、インストール形式が同一のOffice 2013とOffice 2016を共存させることは、限定的にしかできません。例えば、Word 2013、Excel 2013、Outlook 2013しか入っていない環境に、PowerPoint 2016を入れて共存させることは可能ですが、Outlook 2016を入れて2013と2016の2つを併用することはできません。Office 2010以前同士(例:2003と2010)と、2010以前と2013以降の1種類の組み合わせ(例:2007と2016)は制限なく共存が可能です。

2013から2016へインプレースアップグレードも可能ですが、2013と前述したインストール形式が合致していることと、新しいバージョンのインストール設定について2013と32ビット・64ビットの種類が合致していることの2点が条件となります。例えば、Click-to-Run版の32ビット版2013が入っている環境では、Click-to-Run版の32ビット版2016にアップグレード可能ですが、MSI版や64ビット版の2016にアップグレードすることはできません。

Officeの更新プログラムの管理方法も変更あり

MSI版

企業においては、WSUSを利用して管理している環境も多いはずです。Office 2010までとMSI版のOffice 2013以降は、従来通りMicrosoft Updateを通じて更新プログラムが配信されるため、WSUSの管理方法で何ら問題ありません。

Click-to-Run版

問題はClick-to-Run版で、Office側で独自のアップグレード確認・実行の仕組みを持っており、Microsoft Updateを通しません。これによって、WSUSの管理範囲から外れてしまうという問題があります。これを解決するには、WSUS単体では不可能で、最新のSCCMが必要となってしまうようです。

Click-to-Run版を利用する場合、どの「更新チャネル」を利用するかについても問題となります。「更新チャネル」というのは、ユーザーの用途や要件に合わせて、ある程度新機能配信のペースを選択できる仕組みです。更新頻度が高いほど不安定なバグを抱えている可能性がありますが、すぐに最新機能を利用できるメリットがあります。更新頻度が高い順に、

  • Office Insider
    不安定な動作テスト大歓迎!という人向け。最もいち早く最新機能を利用可能。
  • 月次チャネル(対象指定)
    一般展開の前に動作を確認しておきたい人向け。
  • 月次チャネル
    個人用Officeの一般展開。企業向けの一般展開用としても選択可能。
  • 半期チャネル(対象指定)
    企業向けの一般展開の前に動作を確認しておきたい人向け。
  • 半期チャネル ※「段階的提供チャネル」から間もなく改称予定
    機能更新が最も遅い代わりに、最も安定したバージョン。通常の企業向けの一般展開用。

と呼ばれています。
この設定もインストール前の設定が必要です。設定はOffice管理センターから行う方法と、Office展開ツールを利用する方法があります。

Office 展開ツールについて

入れようとしているOfficeがClick-to-Run版の場合、「Office 展開ツール」を使う方法があります。
詳しい使い方は公式ドキュメントをご覧ください。

Office 展開ツールを使うことで、「更新チャネル」の指定、32ビット版・64ビット版の指定、インストールするアプリケーションの指定が可能です。通常のClick-to-Runインストーラーでは、32ビット版・64ビット版の指定しかできず、「更新チャネル」は企業の管理者の設定、インストールするアプリケーションは全てとなりますが、ある程度制御することが可能となります。

XMLを編集することができることと、コマンドプロンプトでコマンドを打てること、PCの管理者権限を持っていることが利用するための条件です。

Windows・Office共に企業の管理者にとっては苦しい

しょっちゅうこの辺のポリシーは変化しています。半年ごとにアップグレードするということを聞いて、青ざめる管理者もいるかもしれません。
ただ、1回の更新量は今までのものに比べて圧倒的に少なく、1度に大量の互換性の問題が起きる可能性は大きく減少しています。
これからは、最新の情報を手に入れることを怠らず、適切に管理することをMicrosoftから求められているのです。