選択肢の重圧が生む「結婚離脱型」~出生数70万人割れが示す現代の深層心理~

選択肢の重圧が生む「結婚離脱型」~出生数70万人割れが示す現代の深層心理~

木村Y

前回のブログ結婚したい大学・院生が25% という数字に驚いて記事にしたけど、続けて 出生数が70万人割れ だというニュース。
結婚欲薄い「離脱型」増加という見出しを見て、続編を書く気になった。

結婚欲が薄い「離脱型」が増えているという。


前回の振り返り:25%ショックの事実

前回書いた通り、大学生で「結婚したい」と答えた人はたった25%。

でも今回の記事を読んで気づいたのは、これは単純な「結婚離れ」ではなく、
もっと深い「不安の表れ」なのかもと感じる。結婚が怖いのかな?

確かに、結婚は怖いけど…(^^;😉


教育熱が生み出す「完璧主義の罠」

記事によると、変化が加速する時代の教育熱で、親は子どもにより多くの選択肢を与えたいと考えている。
英語、プログラミング、ピアノ、サッカー、塾…。確かに素晴らしい環境だ。

選択肢の無い社会は、絶対主義だったりファシズムだったり、最悪だ。
ただ、現代の日本では、「どれを選んでも不安」という状況を作り出しているのかもしれない。


「過度な育児」という重圧の連鎖

「過度な育児に負の印象」という記事の指摘は興味深い。
親は良かれと思ってやっているのに、子どもは重圧を感じている。

この構図、実は親自身も同じなのではないだろうか。

「他の子はもっと習い事をしている」「うちの子は遅れているかも」「私は親として十分なことをしているのか」…。

親もまた、不安に支配されている。
この不安が子どもに伝染し、子どもは「期待に応えなければ」というプレッシャーの中で育つ。

そして大人になった時、「自分は十分じゃない」という感覚が染み付いている。
そんな状態で、結婚や子育てという「人生最大の責任」を負う気になれるだろうか?


幸せの基準が見えなくなった時代

昔は幸せの形がもっとシンプルだった。

「いい学校に入って、いい会社に就職して、結婚して、子どもを育てる」。
単調に見えるかもしれないが、少なくとも迷いは少なかった。

でも今は違う。働き方も生き方も選択肢が無数にある。

YouTuberになる人もいれば、海外でノマド生活をする人もいる。
フリーランスで自由に働く人もいれば、大企業で安定を求める人もいる。

選択肢が増えること自体は素晴らしい。

でも、「正解」が見えなくなった結果、「何が本当の幸せなのか」がわからなくなってしまった。
幸せが分からないと不安だけが増大するのはもっともだと思う。


SNSが増幅させる「比較の苦しみ」

そこにSNSが追い打ちをかける。

他人の「キラキラした生活」が24時間流れてくる。
新婚の友人の幸せそうな写真、同級生の可愛い子どもの動画、先輩の昇進報告…。

でも、それって本当に全部が真実なのだろうか?
SNSに投稿されるのは人生のハイライトシーンだけ。誰も失敗談や悩みは投稿しない。

それなのに、私たちは無意識に「他人の人生のハイライト」と「自分の日常」を比較してしまう。
そりゃあ、自信をなくすのも当然だ。


自信を持てない世代の深層心理

「自信を持てないから結婚を希望しない」という分析は核心を突いている。

でも、なぜ自信を持てないのか?
それは、「失敗が許されない文化」の中で育ったからかもしれない。

テストで100点を取れば褒められるが、90点では「なぜ100点じゃないの?」と言われる。
習い事でも勉強でも、常に「もっと上」を求められる。

そんな環境で育った子どもたちが、完璧でない自分を受け入れられるはずがない

「こんな未熟な自分が、誰かを幸せにできるのか?」
「子どもを立派に育てられるのか?」という不安に支配される。


30歳の「諦めと受容」

前回書いた「30歳以上になると結婚希望者が3割に上昇」という現象も、今思えば興味深い。

30歳で急に結婚したくなるのではなく、「完璧でない自分を受け入れる」年齢なのかもしれない。
「もう他人と比較するのはやめよう」「完璧な人生なんてない」「今の自分で十分だ」。

そんな諦めにも似た受容が、逆に結婚への道を開くのかもしれない。


本当の幸せとは何だろう?

ここで根本的な問いに戻りたい。そもそも、幸せって何だろう?

多くの選択肢を持つことが幸せなのか?
完璧な準備ができることが幸せなのか?
他人より優れていることが幸せなのか?

もしかしたら、幸せはもっとシンプルなところにあるのかもしれない。

誰かと一緒にいて安心できること。
失敗しても許し合えること。
完璧でなくても愛し合えること。


不安の時代を抜け出すために

変化が加速する時代だからこそ、私たちは立ち止まって考える必要がある。
「より多く」「より高く」「より完璧に」という競争から一歩引いて、「今ここにある幸せ」に目を向けてみる。

結婚も子育ても、完璧な準備なんてできない。
でも、「この人となら」「この子となら」という気持ちがあれば、きっと何とかなる。

むしろ、一緒に悩み、一緒に成長していく過程こそが、本当の幸せなのかもしれない。


希望への小さな一歩

出生数70万人割れは確かに衝撃的な数字だ。

でも、これを悲観的に捉えるだけでなく、「社会全体で考え直すきっかけ」として捉えてみてはどうだろう。

「結婚しなければならない」から「結婚したいからする」へ。
「子どもを作らなければならない」から「子どもと一緒に成長したいからする」へ。

そんな価値観の転換が起これば、きっと数字も変わってくる。
大切なのは、不安に支配されるのではなく、小さな幸せを積み重ねていくこと。

そして、完璧でない自分も、愛される価値があることを信じることなのだと思う。

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