こんにちは、ページワンの佐々木です。
Microsoft の資格試験 AZ-140 (Configuring and Operating Microsoft Azure Virtual Desktop) の勉強を始めました。
ところが、いざ教材を探してみると市販の日本語書籍がほぼなく、公式のスタディ ガイドをそのまま読むのも骨が折れそう…。そこで「自分の学習スタイルに合った教材を AI に作らせたらどうだろう?」と試してみたところ、想像以上に実用的な成果物ができたので、その流れと工夫をご紹介します。
単なる「AI にやらせてみた」ではなく、ハルシネーション (それっぽいウソ) をどう避けたか にフォーカスします。
作ったもの — 1 日で 4,700 行超の学習キット
平日の業務合間に指示を出しておいただけで、ざっくり次のボリュームの教材一式が出来上がりました。
- 参考書 12 章 (合計 1,464 行、各章ごとに PDF 付き)
- 問題集 12 セット (240 問超、各章ごとに PDF 付き)
- 試験直前チートシート (A4 数枚、PDF / PPTX 付き)
- 学習スライド 1 セット (PPTX)
合計 4,735 行。市販参考書 1 冊分ぐらいのテキスト量です。ディレクトリ構成はこんな感じで、章ごとにファイルが分かれています。

ポイントは Markdown だけで終わっていないこと。Claude Code のスキル内で PDF と PPTX にも自動変換しているので、
- 移動中の電車でタブレットに PDF を入れて眺める
- 寝る前にスマホでスライドを 1 枚ずつめくる
- 試験当日にチートシート PDF だけ印刷して持ち込む
といった「読む媒体」を学習シーンに合わせて切り替えられます。自分用なので体裁はゆるいですが、実用性は十分です。
使ったもの
構成はいたってシンプルで、次の 3 つだけです。
- Claude Code: Anthropic の CLI 版 Claude。ターミナルから自然言語で指示を出せる
ms-cert-studyskill: Microsoft 認定試験向けに、試験ドメインを章分解 → 参考書 → 問題集 → チートシート → PPTX まで一気通貫で生成する自作スキル- mslearn MCP: Microsoft Learn の公式ドキュメントを検索・取得する MCP サーバー。Claude が直接
learn.microsoft.comを読みに行けるようになる
実際の指示は拍子抜けするほど雑で、「AZ-140 の教材を作って」と一言投げるだけです。スキル側に「試験ドメインごとに章を切れ」「各章の冒頭に参考 URL を並べろ」「問題集は選択式 4 択で 20 問作れ」といった手順が焼き込んであるので、あとは Claude が粛々と動いてくれます。
工夫したポイント — AI 任せのハルシネーションをどう避けるか
さて、ここからが今回いちばん伝えたい話です。
AI に学習教材を作らせるときの最大の敵は 「もっともらしいウソ」 です。AVD 関連だけでも、
- RDP Shortpath で使う UDP ポート番号
- FSLogix プロファイル コンテナーの推奨レジストリ パス
- ホスト プールの負荷分散方式 (深度優先 / 幅優先) の挙動
- セッション ホストのスケーリング プランで使う時間帯ランプ
など、「試験で問われるが、うろ覚えで書くと微妙に間違える」 論点がゴロゴロあります。AI が「それっぽく」書いたものを鵜呑みにすると、試験本番だけでなく、実務でもお客様に誤った情報を伝えてしまいかねません。
そこで、次の 2 つを徹底しました。
1. 一次情報 (learn.microsoft.com) を必ず当たらせる
mslearn_search / mslearn_fetch という MCP ツールを Claude Code から呼び出し、各論点を書く前に必ず Microsoft Learn の該当ページを取得させる ようにしています。
これをしないと、Claude は学習時点のスナップショットから答えてしまい、「それ、去年の仕様ですよ」みたいな回答が平気で混ざります。例えば AVD の料金体系やエージェント バージョンのように、半年単位で更新される領域はまさにハルシネーションの温床です。
参考書の各章には、その章で参照した公式ドキュメントの URL をそのまま記載するルールにしてあります。

章の冒頭に 参考: https://learn.microsoft.com/... がずらっと並んでいるのが分かると思います。これは見栄えのためではなく、「根拠が無いことを書かせない」ためのアンカー です。読者 (自分) が後から「この記述、根拠あるの?」と思ったら、すぐ公式ページに飛んで確認できます。
2. 確認できなかったことは「要確認」と明記させる
問題集の解答・解説は、特にハルシネーションが起きやすい領域です。「なぜその選択肢が正解か」「他の選択肢のどこが誤りか」を説明するときに、Claude はつい知識を補完しようとして断定しがちだからです。
そこで、プロジェクトの CLAUDE.md に以下のルールを追加しました。
- 問題集の解答・解説は必ず mslearn MCP で裏付けを取ること。
未確認の場合は「(要確認)」と明記
- 確認できない情報を事実として断定しない
たったこれだけですが、効果は絶大でした。怪しい解説には自動的に (要確認) タグが付く ようになり、「自分で一次情報を当たって確定させるべきポイント」が視覚的に浮かび上がります。

これは AI を使った資格学習において、個人的には 最も重要な 1 行 だと思っています。AI の断定口調に引っ張られず、「断定できない部分はちゃんと濁す」というルールを守らせるだけで、学習中の疑心暗鬼がぐっと減ります。
試験直前用チートシート
章ごとの参考書は詳しい分、試験 2 時間前に読み返すには重すぎます。そこで A4 数枚でまとめたチートシートも別途生成させました。
- 深度優先 vs 幅優先の使い分け
- RDP Shortpath の前提条件 (UDP 3478 / 3479、STUN/TURN)
- FSLogix の必須レジストリ (
VHDLocationsなど) - ホスト プールのスケーリング ランプ フェーズ
- 条件付きアクセスと AVD の組み合わせ時の注意点
こういった「忘れやすいけど 1 問ずつ出てくるポイント」を 1 枚に集約しています。

試験会場への移動中に PDF でざっと眺める、という使い方を想定していて、実際かなり役立ちました。
やってみた所感
1 日作業で終わった後、改めて振り返ってみるとこんな所感です。
- ゼロから参考書を探すより速い: 市販の和書が追いついていない新しめの試験こそ、AI 生成の恩恵が大きい。AZ-140 は和書が少ないので、特にありがたかった
- 公式ドキュメントを横断で読むきっかけになる: 教材生成の過程で AI が Microsoft Learn を大量に引用してくれるので、結果的に一次情報との往復が自然に増える。「これ、原文はどう書いてあるんだっけ?」と確認する癖が付く
- 間違いに気づきやすい: 「要確認」と書いてくれるので、盲信せず手を動かして検証する癖がつく。誤った記憶を補強してしまうリスクが下がる
- 他試験にも流用できる: 同じ仕組みで AZ-104 や AZ-305、Security 系の SC-xxx にも展開できる。スキル側のテンプレートは使い回しが効く
- 教材作成そのものが学習になる: 章立てを AI に任せる前に「自分ならどう分けるか」を考えるので、試験範囲の俯瞰が最初にできる
AI は 「勉強する AI」ではなく「勉強道具を作る AI」として使う と、学習効率がぐっと上がる、というのが今回の一番の気づきです。
Claude Code に代表される AI ツールは、「人間の代わりに考える」使い方よりも「人間が考えるための環境を整える」使い方の方が、少なくとも学習の文脈では相性が良さそうです。同じように資格学習や業務キャッチアップを予定されている方がいれば、ぜひ試してみてください。
次回は「作った教材で実際に受験した結果」と、受験後に気づいた教材の弱点 (AI が取りこぼしやすい試験範囲) についてもご紹介したいと思います。
それでは、また。