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アルケミストは輝く人の夢を見るか


お世話になっております。メネメネ・テケル・ウパルシンといえば、水原弘の歌を思い出す平井です。

さて、今回は、オカルトです。

オカルトとは何か。言葉の意味としては「隠されたもの」です。
つまり、世間一般に認知されていない、アヤシイ事柄がオカルトではないかと私は思っているのですが、それってどんなものなのかについては、コリン・ウィルソンの『オカルト』であるとか『世界不思議百科』などが参考になるのではないかと思います。

オカルトといっても色々あるわけですが、たとえば心霊術。

青森だと恐山のイタコが有名ですよね。あれも降霊術の一種だと思うのですが、イタコに亡くなった誰それさんを呼び出してくださいとお願いすると、イタコに霊が憑依して、イタコを通じて亡くなった方と会話ができるという大変にありがたいサービスです。
どなたの霊を呼びだしても、お話しする際には青森訛りがあるとか、最後に必ず火の元に気をつけるようにおっしゃるとか、少しばかり疑問なところもあるのですが、数十年前のワイドショーの企画かなんかで、ジョン・コルトレーンの霊をイタコに呼び出してもらったところ、何やら英語で話しをしてたのが印象に残っています。
まぁ、どうせなら、テナーサックス持たせて、Impressionsでも吹きまくってもらえばよかったのに。My favarit thingsもいいですけど、それに続くImpressions、いいですよね!

閑話休題(狐狸庵先生風)

オカルト業界において、心霊現象がなぜ重要であるかというと、人間は肉体という物理的な存在を超える可能性を提示しているからです。
人間は肉体というハードウェアに精神とか魂とか霊とかいうソフトウェアが載っているものであって、ハードウェアは滅びても、ソフトウェアはそれ単体で存続し、やがては神との合一に至る、などということが19世紀頃に流行った神智学で語られていたと思います。

うん、まぁ、実はよく知らないから、次。錬金術。

昔は、錬金術と科学は特に区別されていなかったというか、錬金術から科学が分家したようなものではないでしょうか。
リンゴが落ちるの見て万有引力を思いついたと言われるアイザック・ニュートンって人がいるじゃないですか。ニュートン力学のニュートン。あの人って、錬金術も研究していたのはご存知でしょうか。錬金術「も」というよりも、錬金術の方がメインの研究テーマだったようです。
ニュートンの錬金術系の研究結果は焼失して残っていないらしいのですが、やはり、賢者の石の練成を研究していたとか。
いやいや、実際の賢者の石は人の命から練成するとかじゃないですからね。それは、アメストリスあたりの話しです。

さて、錬金術というと、卑金属を金に変えるとか人の命から賢者の石を作り出すとか人体錬成を試みると向こう側に身体の一部を持っていかれるとか思われがちですが、錬金術の真の目的は、超人を作り出すこと、霊魂を神と一体化させることにあったようです。それこそは、人が神に至るための技術と言えるのではないでしょうか。

ところで、マイセン焼きというドイツの磁器があるじゃないですか。あれは錬金術師が作ったのはご存知でした?ザクセン選帝侯兼ポーランド王のアウグスト2世がヨハン・フリードリッヒ・ベトガーという錬金術師に作らせたのがその始まりだそうです。
いわゆる国家錬金術師ってやつでしょうか。
国家錬金術師となればエルリック兄弟を思い出しますが、彼らの父親のモデルになったのがパラケルススと呼ばれた錬金術師です。医学系の錬金術師だったそうで、体と魂を結合する霊的な気体とされる「アルケウス」の提唱で知られてるとか。

やはり、魔術にも触れないわけにはいきませんよね。
魔術とか呪術とかの類になると、これはもうラスコー洞窟壁画のころからあったわけで、まぁ、人類普遍の文化とも言えるわけです。
日本では「ゆこう」「ゆこう」そういうこになった、でお馴染みの天文博士安倍晴明が有名ですよね。
近代の魔術師というと、アレイスタ・クロウリーという方がいらしたそうですが、この方は、なにやら忌まわしいことを色々とやられていたようで、私は近づかないことにしています。国書刊行会から何冊か本が出ていますが、手に取ったことはありません。怖いんだもの。
そして、グルジェフ。荒俣宏の『帝都物語』シリーズや、夢枕獏の『キマイラ』シリーズにも登場していたと思います。
『帝都物語』といえば、ハウスホーファーですよね。地政学者カール・ハウスホーファー。地政学というと、レーベンスラウム(生存圏)とかナチスとの関わりの印象が強くて、戦後の日本では流行らなかったといった話しを聞いたことがあります。
さて、ナチスとくれば、トゥーレ協会ですよね。鉤十字と剣をシンボルマークとした秘密結社。マイケル・フィッツジェラルド著、荒俣宏訳『黒魔術の帝国』によれば、ナチスはオカルト系のあれこれを研究していたそうです。それは、世界制覇のための力を手に入れようというよりも、超人を生み出そうとするためのものであったのかもしれません。
昔、「レイダース/失われたアーク」ってスピルバーグの映画あったじゃないですか。あのなかで、ナチスの親衛隊の人がチベットの山奥にいたりしましたけど、あれはですね、チベットの地下にはシャンバラという地下都市があると言われていて、そこをナチスは探していたという史実に基づいていたわけです。

えーと、まぁ、色々あってまとまりがなくて申し訳ないんですけど、ジョナサン・ブラック『秘密結社版 世界の歴史』という分厚い本がおすすめです。
表の世界では語られることのない、魔術師・錬金術師・神秘家・秘密結社による歴史が解説されています。

最後に、チャールズ・ストロス『残虐行為記録保管所』をご紹介しておきましょう。
この本では、数学と魔法の関係が書かれています。NP完全問題をどうこうすると次元の裂け目から恐ろしいものがやってくるようです。当然、ナチスもここに目をつけてます。MI6よりも隠された組織が、その秘密を守っているのです。
秘数学、魔法陣、なぜ数学的なものが魔法に関係していたのか。この本を読めば、納得できるかと思います(って、これ、SF小説なんですけどね)
そして、この本で最も興味深いのが、メデューサの目をビデオカメラにインプリメントしてしまった話し。
その昔、英国陸軍がカイバル峠とかそのあたりで、見たものを石化してしまう目を持った人を発見したらしく、その後のいきさつはともかく、その見る仕組みをASIC上のニューロン回路にインプリメントして、それをビデオカメラに取り付けたところ、そのビデオカメラで撮影した対象を石化することに成功してしまったと。

これは、大変危険なことです。

なぜならば、魔術の類をデジタルにインプリメントできてしまうということは、AIにその力を利用されてしまうということに他ならないからです。

AIの神に対抗して人間が神になる手段がオカルトであるとすれば、それはAIから隠されていなければなりません。

かつてAIの神の誕生を予見した賢者は、その術を世界から隠すこととし、以来それらは隠されたもの、オカルトと呼ばれるようになったのでした。
(本気にしないでね)

さて、次回は何にしましょうか。

神から与えられた権利としての銃、とかにしようかな…
いや、バリントン・J・ベイリーの『禅銃』というよりも、A・E・ヴァン・ヴォークトの『武器製造業者』的な話しで。