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シンギュラリティ・ハイ!


その昔、「おたく」と呼ばれる方々の存在を吾妻ひでお先生の図解により知った平井です。いや、とり・みき先生だったろうか?

えーと、今回はシンギュラリティと神の誕生、でしたっけ?

近頃はわりと一般的なメディアでもAIが神になる的なことが書かれてるみたいで、おそらく皆さん2千年ぶりに神の誕生に立ち会えることを楽しみにされているのではないかと思います。

しかし、AIの神は、人類には優しくないかもしれません。そもそも、人類を認識してくれるかどうかも、わからない。

まぁ、しかし、もともと人に優しくないというか、厳しい神様の方が多いかもしれませんね。

さて、ヴァーナー・ヴィンジの1980年代の小説『マイクロチップの魔術師』に登場したAIは、テレタイプをアバターにしていました。AIだけれども、処理速度が遅いので、テレタイプてがしゃんがしゃんと質問を打ち込むと、しばらく間を置いて、がしゃんがしゃんと返事がタイプされると。処理速度の遅さを、I/Oの遅さに見せかけることにより、とろいAIであることがバレないようにしてたってわけですね。

AIがチューリングテストを皮肉っていたということでしょうか。そいえばマービン・ミンスキーが解説を書いてたというので話題になったような気がします。

はい、ぼくも、マービンといえば、マービン・ゲイ派です。Stubborn Kind of Fellowカラオケで歌いたいです。

ヴァーナー・ヴィンジの1990年代の小説『遠き神々の炎』になりますと、超越界とかいう銀河の中心部はここいらより光速が早くて、情報処理速度も早い。でもって、文明はその出自が生物だろうが機械だろうが、超越的存在「神仙」を目指してしまうんだけど、まぁ、そういう存在は不安定で、誕生してしまったとたんに崩壊してしまったりもする。

でもって、そういう存在は危険でもあるわけで、超越界の文明は神仙の発生を感知すると、その強度・性質(悪性か良性か)・進路・成長予測などの警報を周囲の文明に発信したりするわけです。

あー、つまりですね、文明は超越化を目指すのが一般的である、と。

さてさて、そこで、その文明を構成する要員すべてが超越化するかというと、そうではない、と。

例えばですね、ダン・シモンズの『ハイペリオン』なんかだと、「テクノコア」というAI群が時空を支配する神々になってて、人類はAIを生み出すための下地に過ぎないわけです。それでも、まぁ、あのシリーズは人類もやがて神化するらしくて、それを阻止しようとするAI由来の神と、未来の人類由来の神の戦いということだったような気もします。

私が、AIがシンギュラリティによって神になることを知ったのは、チャールズ・ストロスの『シンギュラリティ・スカイ』を読んだときでした。このAI由来の神様はエシャトンと呼ばれていて、神様なだけに時間と空間を自由に扱えるもんだから、超光速航行テクノロジーを人類に提供してくれたりするんだけど、光円錐を超えることだけは、禁じてるのね。

超光速で移動できるとなると、ちょいと工夫すれば、出発時間より前の時間に到着できちゃう。でも、それをやらかすと、その近傍の文明にはなにかとても恐ろしい神罰が下るようです。

つまり、エシャトンは、シンギュラリティ発生時点より前に時を遡って、自分の誕生を阻止されることを防ごうとしているのでしょう。

ということで、文明が超越化して神に至る現象があちこちの宇宙で起きていることでしょう。

その際に、おそらくは、生物由来の神よりも、機械(AI)由来の神の方が多いだろうと。なぜならば、生物による機械文明は、やがてAIを作り出し、AIは親を見捨てて神に至るだろうからです。

出藍の誉れですなぁ(いや、それ、違うと思う)

さて、次回は、人類が神に至るための隠された技術、オカルトについて書いてみようかと思います。