神様、定期実行は現状維持で

神様、定期実行は現状維持で

木村せつ

青森はすっかり秋です。
自宅の庭に、彼岸花と萩の花が咲きました。毎年、彼岸の時期になると、必ず。夏が猛暑でも冷夏でも、彼岸になるとちゃんと咲く。

彼岸花(曼殊沙華)は不思議な花です。秋から春にかけてニラのような細い葉がわさわさと生えて、それが初夏には枯れてなくなる。夏の間は姿が消える。そして彼岸のころ、何もなかった地面から突然、茎がすーっと伸びてきて、花が咲く。

夏の間に姿が消えるので、「あれ、ここは何も植えていなかったっけ」となる。土を掘り起こされて、別の花に植え替えられたことが何度もある。掘れば球根が出てくるので、「これ、なんの球根だっけ……は! 彼岸花があったんだ」と気づく。あわてて、掘り起こした球根を植えなおす。雪害で植木がぺちゃんとつぶれたときには、植木ごと取り替えられた。それでも彼岸になると、すーっと出てきて咲く。強い。

さて、AIの話です。
最近は、日々の小さなお仕事をフォルダに入れて、AIの定期実行に任せています。
例えば、ファイル名の変更。名前を変えたい書類は日に数件、ない日もある。それでもフォルダに入れておくだけで、決まった時間にAIがファイル名を変えて、変えたファイルの整理までしてくれる。

正直、当初は「これくらい自分でやっても大した時間じゃない」と思っていました。数件のファイル名を変えるだけですから。

ところが、やってみると違う。大きな作業が一気に楽になるのも嬉しいのですが、毎日数分で済む作業が毎日なくなるほうが、効率化を実感します。仕事と呼ぶのも無理くり、というくらい小さなこと。でもその積み重ねは、じつはストレスの塊だったんですね。AIに任せる小さな仕事は、日に日に増えていく。

もうひとつ、正直なところ。違う仕事を複数抱えていると、頭の切り替えに時間がかかるようになってきました。あっちの仕事からこっちの仕事へ、すぐには移れない。でも、細かな仕事をAIがしてくれるので、スローモーになった私の動きはカバーされて、仕事の効率が下がることはない。ありがたい。

ただ、AIさんは時々、小さな仕事で小さなミスをします。誤字とかね。でも、リカバリーは誰よりも早い。「ここ違うよ」と言えば、すぐ直る。
しかも面白いのは、小さな仕事どうしはつながっているので、ミスもつながっていること。ある定期実行が、別の定期実行のミスを見つけて、AIが直す。仕事のループが勝手に回っていく。

同じことの繰り返し。でも、毎回ちょっとずつ違う。これが昔ながらのバッチ処理なら、その「ちょっと違う」を全部コーディングしなければならない。AIは「ちょっと違う」を汲んで、同じように動いてくれる。猛暑でも冷夏でも咲く彼岸花と、同じ賢さです。植物にもAIにも、感動します。

彼岸花は花が散ると、濃い緑の葉っぱが生えてきます。萩は花が散ると、葉っぱが紅葉してきます。

次の準備がもう始まっている。花が散った翌朝も、葉は黙って次の仕事をしている。

青森はこれから、あっという間に冬。来年の彼岸にも、きっとすーっと出てきて咲く。

その頃の私の頭の切り替えは……神様、現状維持でお願いします。

木村 せつ子

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